Ibanez AFR A104 ピエゾピックアップ修理
週末はかみさんが熱をだしたので、
家でゆっくりしています。
土曜日の夜に、先日オークションで落札した
Ibanez AFR A104のピックアップ修理を
一念発起してトライしてみました。
このベース、前にも書きましたが
1弦ピエゾピックアップの音が出ない、
また楽器自体も20年を迎えるというせいか
希少性を鑑みるととても手頃な値段で出ていたので
思わず落札してしまいました。
少なくとも木はもう手に入らないから。
このスイスの楽器デザイナーRolf Spulerが
1990年代にIbanezと作り上げた楽器。
いろいろ調べてみるとRolf Spulerは
その後もエッジーなホーン形状とハーフスルーネック、
ピエゾピックアップを特徴とした楽器を
作り続けていることがわかりました。
(Rolf Spuler musical engineeringのH/P)
彼の思想は揺るぎなく
AFRの段階で確立されていたんだと感じます。
なんてことを知ってしまうと、
何が何でもピエゾピックアップを直さないと
という気になってしまいます。
とは言うものの
大体ピエゾピックアップの
構造なんて
皆目検討も付かない。
唯一わかるのは、
分解を試みられた現品。
どうやらサドルに一工夫あるらしい。
確かにこの弦を受けている駒、
2〜4弦の駒をドライバーの先端で突くと
何も介していない様な軽い打音が
プリアンプを通したヘッドフォンから聞こえる。
ということで、
駒を外してみると
見たこと無い
金属光沢のチップ出現。
ほぼ同じ構造を持つ
Ibanez SR5000SMの
ブリッジには無かったもの。
多分これが
圧電素子だろう。
裏返してみると
樹脂っぽい黒いものの中に
半光沢の石が入っている。
後でハンダ付けを試みようとして
苦労した時に割ったかと思ったら
どうやら最初から割れていたらしい。
一応テスターで触れて
導通と起電力を
確かめてみたところ、
断面構造はこんな感じらしい。
で、残された
ブリッジはというと、
こんな感じでリード線が
載せられていました。
おそらくはこれで導通を
取ろうとしていたのでしょう。
でも圧電素子の起電力は上下振動
とすると、ここで拾った相手の
電極は?
とブリッジ全体を
外してみると、
ボディとの間に
一本リードが来ている。
ということで、
ブリッジボディそのものが
対極になっているということ。
なので、リード線が乗っているだけだと
ただ単にショートして、圧電素子の
起電力は拾えないことになります。
なので、
リード線を斜めに切り
被服をブリッジとの
絶縁に使える様にして
リードが直接圧電素子に
接触する様にしてみました。
断面の感じはこんな感じです。
こうしないと
起電力が拾えないはず。
多分このあたりが
故障と診断された原因
だったのではないかと。
ということで組上げてみると、
きちんと音が出てくるではないですか!
やはり圧電素子の起電力を拾えて無かっただけ。
ということでなんと直りそう...。
どうやら音が
出ないということで
背面の各弦のレベル調整が
フルアップになっていたのを
眼鏡用のネジで
適切に絞ります。
その結果...、
フロントとのミックス時に1弦だけ
音が小さくなる...。
他の弦はほぼ同じ音量で、
トーンが硬いトーンから柔らかいトーンに
変化していくだけなのに。
でもこの音の痩せ方は聞き覚えがありました。
そう、位相がひっくり返っているようです。
これを直すには、
樹脂に挟まっている素子を
ひっくり返して装着するしか無い。
ということで、
日曜日の延長戦で、
圧電素子を剥がして取り出し、
表裏をひっくり返して
再び装着。
弦を張って音を鳴らしてみると、
きちんと音量がつながる様になりました。
その状態でサドルの駒をシリコンコーキング材で固め、
無事に修理完了です。
思ったより重症でなくて、
また部品が紛失してなくて良かったです。
これで再びAFRは音を奏で出します。
結果的にはとてもラッキーな買い物になりました♪
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